磯焼けとは、海藻や藻場が減少し、海の生態系が乱れる現象のことを指します。この磯焼け現象が進行することで、海中の生物が減少し、生態系に深刻な影響を及ぼします。
磯焼けが進行すると、海の養分循環が乱れ、魚類や甲殻類などの生物の資源が減少します。また、生態系全体がバランスを失い、多様な生物が棲みつく海域が減少することで、海の生態系が崩れる恐れがあります。
磯焼け対策にはさまざまな方法がありますが、その中でも具体的な一例を紹介します。
磯焼け対策の一例として、対馬では海藻を食べ尽くす「食害魚」を食べさせることで磯焼け対策が行われています。この取り組みにより、磯焼けの進行を抑えることができています。
磯焼け対策には様々な費用が必要となります。対馬の例では、特定の食害魚を飼育して海藻を食べさせるための設備や餌、研究費などが必要とされています。これには多くの投資が必要となるため、資金調達や補助金の活用が重要となります。
国や地方自治体の対磯焼け策予算や補助金の存在についてです。
志摩市では2023年度の一般会計当初予算案を発表し、約264億7000万円の予算が立てられました。その中には、磯焼け対策の実証実験費用として約500万円が盛り込まれています。
磯焼けは、藻場の消失によって海洋の生物多様性や漁業資源に大きな影響を与える深刻な問題です。一方で、ブルーカーボンは藻場やマングローブ、海草藻場などが大気中の二酸化炭素を吸収し、炭素として海洋に蓄える仕組みを指します。このような自然の炭素吸収源としての藻場を守り復元することは、磯焼け対策を進める理由としても、一石二鳥の効果を発揮します。 具体的な防止モデルとして、まず貧栄養化や藻食性生物の過剰繁殖といった磯焼けの原因を取り除き、藻場の再生を支援することが重要です。また、復元された藻場がブルーカーボンとしての役割を担えるよう、藻場の健康状態を定期的にモニタリングし、その炭素蓄積能力を最大限に活用するための技術が求められます。このようなブルーカーボンを活用したモデルは、地球温暖化対策とも連携可能であり、持続可能な未来の海洋環境を支える一助となります。
磯焼け対策とブルーカーボンの活用は、ともに持続可能な海洋環境を目指す点で共通の目的を持っています。藻場は「海の森」とも呼ばれるほど、生態系の維持と回復において重要な役割を果たしており、その再生は沿岸地域の漁業や観光業にも恩恵をもたらします。また、海藻の群落が健康に育つことで、二酸化炭素の吸収能力が向上し、地球温暖化の緩和に貢献することが期待されます。 持続可能な環境の実現には、科学的知見を取り入れた対策と地域コミュニティや漁業者との協力が欠かせません。これにより、磯焼けが引き起こす漁獲量の減少や環境劣化といった課題に対応し、次世代にわたって健全な海洋環境を引き継ぐことが可能になります。
地球温暖化が進む現代において、地域主導型のアプローチは磯焼け対策とブルーカーボンの活用を融合させるための重要な鍵となります。地方自治体や漁業者、研究者が協力し、地域の特性に応じた対策やプロジェクトを実施することで、効率的かつ効果的に環境問題に取り組むことができます。 例えば、ウニなどの植食性生物の管理を地域ぐるみで進めるとともに、漁業従事者を中心に海藻の植生活動を広げることが考えられます。また、全国に先駆けて磯焼け対策に取り組んできた事例やノウハウを他地域に共有することで、より広範囲な海洋環境の改善を目指すことが可能です。温暖化への対応はグローバルな課題でありながら、地域ごとの地道な取り組みが大きな成果につながるでしょう。
